豊島逸夫の手帖

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ヘッジファンド戦術に変化の兆し

2016年3月28日

ヘッジファンドに円買い・日本株売り一巡を見越して、次の一手を模索する姿が垣間見える。米4月利上げと消費増税延期がほぼ同時期に決まるシナリオを視野に、115円台回復を見込む声が、筆者の想定より強い。日本では円高論優勢の気配だが、米国ではドル高論が再び勢いを取り戻しつつある。日米市場の温度差を痛感した。

NYサイドの共通した見方としては、FRBが(時期はともかく)利上げ、日銀はマイナス金利ゆえ、メインシナリオはドル高であり、ドル安は一過性と位置づけていること。イエレンFRB議長は「ハト派」と言われるが、黒田総裁は「スーパーハト派」というわけだ。やはり、マイナス金利政策については欧州限定と思っていたのが「日銀よ、おまえもか。」との衝撃は強く残った。従って、2016年通年でドル安との見方は聞かれなかった。そこには日米市場の視点の違いも見て取れる。日本側はもっぱらドル円相場でドル安を論じる傾向が強いが、米国側はドルインデックスをフォローしているからだ。そのドルインデックスの下げ幅は年初以来2%強程度にとどまり、依然96の大台を維持している。ゆえに、大統領選挙でもドル高が米国の雇用を奪うとの議論が支持を得るわけだ。

但し、地政学的要因で「安全通貨」としてドルが買われるという見方も少なくない。日本ではもっぱら円が安全通貨とされるが、欧米市場では、ドルと円が安全通貨の座を争っている構図なのだ。とはいえ、逃避マネーの動きは一過性だ。

株価についても、日本では外国人投資家の大量売却がもっぱら話題になっているが、NYのヘッジファンドは、円高が終息した場合に備え、日本株の再吟味を開始している。

「米4月利上げが実現するほど米経済回復に自信は持てないが、地区連銀総裁たちが相次ぎ4月利上げの可能性を語るだけで、市場にはドル高バイアスがかかっている。少なくとも円買いモメンタムは弱まった。」

「イースター明けは、雇用統計、イエレン講演、ISM指数など目白押しだが、結局、経済統計はまだら模様。米4月利上げがnot off the table=議論の俎上から落ちる、ということはなかろう。」

「テロ・難民・英国EU離脱の三重苦に見舞われている欧州株に比べれば、日本株のほうがマシ。安倍政権の打ち出す財政政策が日本株再参入のキッカケになりうる。」

このような意見が印象的であった。特に、日本株に関しては、日本の政局に関する質問が非常に多い。「オオサカ・イシン」という外国人発音が一瞬聞き取れず、不意を突かれた一幕もあった。よく調べてウラをとりに来ているようで、日本株もnot off the tableという本気度も感じた。

4~6月期は、ヘッジファンド決算期をはさみ、円買いポジションの手仕舞い、更に、円売りポジションへの転換、そして日本株見直し機運など、潮目が変わる可能性に要注意である。

なお、米大統領選に関しては、「ヒラリーで決まり。市場にとっては、ヒラリー発言よりイエレン発言のほうが直接的影響がある。」との割り切った意見が強かった。

ドル安の流れがドル高に戻ると、ドル建て金価格は下げやすくなるが、円建て金価格は上げやすくなるので、注目。

さて、週末のガーラ湯沢はピーカン♪


しかも新雪。この時期には珍しい。

実に気持ち良く滑れたよ~。

食堂で、カツドン平らげてね。


帰宅後は爆睡。というか、帰りの新幹線から、もう半ば睡眠状態。タップリ寝だめして、スッキリした。

スキー場が新雪ということは、東京は寒い。

桜も開花寸前でストップ状態。

明日明後日あたり、暖かくなって一気に咲くのかね。

市場のエネルギーと同じで、蓄積されて膨張して一気に弾ける。

2016年