豊島逸夫の手帖

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マネーヘリコプター内にポケモン発見

2016年7月21日

英EU離脱ショックから「離脱」。米雇用統計は改善。参院選は与党勝利。円相場は円安に反転。その結果としての安堵相場に、ポケモンGOとヘリコプターマネー思惑が強力な援軍となった。

この株高トレンドはホンモノか。いつまで続くのか。

いつものことながら、鍵を握るのは、売買の過半数を占める外国人投資家の動きだ。

結論からいうと、運用の定番メニューに「日本株」の名も印刷されているが、「今月のシェフのお奨め」メニューに手書きされるには至っていない。

まず、与党参院選勝利は、近年の日本には珍しい長期安定政権のイメージを再び強めた。ここは、運用先の安定性を求める米年金マネーが重視するところだ。コーポレート・ガバナンス・コードにも、一定の評価はある。東芝・三菱自動車などのケースに対する反省で、「雨降って地固まる」ことへの期待を感じる。従って、長期マネーに、日本株売却の動きは殆ど見られない。寧ろ、基金内で運用配分を増やす候補セクターとして、稟議に書ける材料を探している。アベノミクス構造改革の「結果」はいつ出ると期待できるのか。一つでもいい。なにか結果はないのか。

いっぽう、ヘッジファンドの最大の注目点は、なんといっても円相場動向だ。彼らの相場観は、ほぼドル高方向に収れんしている。6月米雇用統計改善以来、住宅指標などマクロ経済データが好転しているからだ。利上げ見通しも、年内利上げ無しから年内1~2回有りに、180度転換した。

では、このドル買いの反対取引として売られる通貨は?

未だにポンドである。直近では反騰局面も見られるが、メイ首相のお手並み拝見との姿勢で、いつでもポンド売り再開の構えが顕著である。「まだ10%程度はポンド下げの余地あり」と見ている。

そのような状況下で、ドル円を仕掛ける兆しはさほど見られない。日銀政策決定会合に対する興味も薄い。「有事の円買い」も以前ほど意識されなくなった。ニース、トルコ発の地政学的要因も、円買い全開モードの時点であれば、好材料視されたであろう。しかし、今回は、スルーされている。円高構造要因として日本の経常収支黒字傾向への注目度も、当面は薄れている。

結局、円相場に関しては、「世界の中央銀行」としてのFRBの動き次第となる。ECBや日銀が追加緩和に動いても、イエレン氏の発言のほうがマーケットには響く。

大筋、110円になれば、円買い再開、100円になれば、円売り開始という目論みが透ける。

なお、ヘリコプターマネーについては、「考えられない」と一蹴している。日本の公的債務問題について、国内より、明らかに海外のほうが神経質だ。財政赤字対GDP比率が先進国でも最悪級とのレッテルを貼られ、財政規律が厳しく問われている。万が一、ヘリコプターマネー検討とでもなれば、ヘッジファンドは、日本株の短期投機買いに向かうだろうが、米年金は日本株から手を引くことになろう。

いっぽう、ポケモンGOの「モンスター・ヒット」は、日本株への注目度アップに貢献している。

マネー満載のヘリコプター操縦席に、ポケモンを発見して、市場が大騒ぎになったイメージだ。

この騒動が一段落したときに、日本株の真価が問われることになろう。

そして、金価格はドル高傾向が強まる中での1310ドル台まで下落。本欄で書いてきたように、高値警戒感の中で調整局面である。長期的にみれば健全な相場展開といえる。ただ一直線に買い、買いなど、いつまでも続くはずもない。買って売られ、を繰り返し、相場水準を徐々に切り上げてゆく。実際、1100ドル割れから1300ドル超えまで、その短期サイクルの繰り返しであった。

いっぽう、プラチナは金より下げが鈍い。金と比し相対的な割安感が未だ市場には残る。

最後に今日の写真。

暑い日のランチ。北海道産の新鮮でシッカリした食感のルッコラにパルメジャーノチーズをかけたシンプルな一品。スッキリした飲み心地のシシリア産ブラッドオレンジジュースとの相性がいい。ライ麦パンと一緒に食した。

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それから、ビックリ写真。

BBCニュースで報道されたシドニー鯨ウォッチング・ツアー。まさに間一髪だね~~。迫力あると言うか、スリリングというか。。。このような鯨の直撃を避けるのも船長の腕だとか。

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2016年