豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 2017年地政学リスク、ワイルドカードはイラン
Page2225

2017年地政学リスク、ワイルドカードはイラン

2016年12月27日

トランプ政権の外交政策の中で、共和党内全体の支持(=上院・下院の賛成)が得られると思われるのが、イランに対する強硬姿勢だ。

トランプ氏は選挙期間中に、「イランとの核合意は最悪の取引。」「当選の暁には、合意を破棄するか、再交渉とする。」など過激な発言を繰り返していた。

しかし、万が一にも核合意が破棄されれば、イランそしてサウジアラビアと核武装の連鎖を生むリスクを孕み、シリア内戦介入・イスラエルのイラン空爆と共振現象を惹き起こし、一気に中東情勢が緊迫化するは必至だ。しかも、イラン核合意に署名した欧州諸国からの反発も招くことになる。

そこで、現実的なイラン強硬姿勢として浮上しているのが、非核分野由来の経済制裁である。具体的には、イランの弾道ミサイル開発、ヒズボラなど過激派支援、人権問題の三つをやり玉にあげる案だ。これなら、英・仏・独も協調できる範囲内といえる。

ただし、この場合でも、イランの強い反発は必至であろう。イラン側の解釈は、そのような新手の経済制裁は、核開発に関する経済制裁の蒸し返しとなり、核合意の精神に反する、ということになる。

イランの保守穏健派ロウハニ大統領は、来年5月に再選を目指す総選挙を控え、外国資本積極導入に傾注しているところだ。出来れば、国内の強硬派革命軍を懐柔したい。

一方、米国側では、未だ、イランが核合意を順守するのか疑念を払しょくできず、「イラン制裁法」の今後10年間延長が議会で可決されている。その対象として、非核分野も入るわけだ。

なお、本件は、ティラーソン次期国務長官(現エクソン・モービル会長)にとって、最初の試練となろう。同氏は、親ロシア派として知られるが、若い頃にはカスピ海沿岸の原油天然ガス開発で社内の実績を残した人物だ。イランへの経済制裁にも関わらず、エクソンモービル社としては、同国を有望な市場と見做してきた経緯もある。政治経験が無いビジネスマンの国務長官と共和党政治家たちとの間で、妥協点模索となるのか。

中国と並び、イランとどのように付き合ってゆくのか。トランプ政権の実相を試す最初のリトマス試験紙となりそうだ。

金・原油市場にとっても、注視すべき問題である。

そして、今日の写真は、川奈ゴルフクラブにて。

久しぶりに発散しました(笑)。

2495a.jpg

2495b.jpg
2495c.jpg


川奈駅の東急ストアで買った、朝どりの鰺・鯖などを、自宅で食べたら、(安くて)旨かったな~~。

明日から1月3日までブログ更新アップできません。何か動きあれば、ツイッタ―@jefftoshimaで呟いています。

2016年