豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 長期国債マイナスでマイナス賃金リスクも
Page2016

長期国債マイナスでマイナス賃金リスクも

2016年2月10日

そもそも、マイナス金利政策は、マネーを民間に流して、企業活動を活性化させ、賃金も上がる、というシナリオに基づく。

しかし、マネーが株から国債に逃避して、10年国債の利回りが、マイナスにまで転じるという現象は、デフレを想起させる。少なくとも、日銀の目論みとは裏腹に、民間経済に沁み付いたデフレ・マインドを露わにしてしまった。

経営者の本音が、インフレ率2%など夢物語で「戦意喪失」となると、賃上げも覚束ない。

日銀は、インフレ期待感を高揚させるために、「禁じ手」とまで言われたマイナス金利導入で、「なんでもやる」との強い決意を具現化した。

しかし、民間企業が、黒田総裁の意気に感じて、「コーポレート・ジャパン=日本株式会社」のために、賃上げに傾く気配が感じられない。円高・株安で萎縮してしまっている。

ここは、安倍首相が更に踏み込んで、日本型雇用制度そして企業文化などの構造改革の本気度を示す必要があろう。日本企業にいまだにはびこる無駄な会議で貴重な時間を費やす習性を改善するだけでも、実質的にかなりのコスト削減になるはずだ。ところが、実態は「社長出席の会議には、参加者数十名が30分前から着席する。病気で欠席者あれば、総務部がピンチヒッター起用で席を埋め、社長に失礼のないよう取り計らい、全員参加を演出する」ような事例が当たり前になっている。その社長の車が渋滞に巻き込まれ会議に遅刻すれば、その間、静まり返った会議室で、全員席を外すことはない。スマホさえOFFのままだ。しかも、その会議で、多くの参加者は暗黙の掟として、発言を禁じられている。更に、その会議室での席順を巡り、総務部がジックリ根回しをする。このような旧態依然たる企業文化を打破する事例も時折報道されるが、それがニュースになるほど、まだ例外的なことなのだ。安倍首相も、経営者団体で賃上げを要請するだけでなく、たまには居酒屋で若手社員たちと上司抜きで2時間飲み交わすと実態が分かるのではないか。

本石町でも現場の若手は、マイナス金利の世界に疲れ果てているようだ。といっても、付利がマイナス0.1%になるのは2月16日から。まだ「延期」という選択肢も残るのではないか。

なお、目先、荒れ相場のxデイは、2月15日。

上海市場の春節が明ける日。今週激動した外為相場を受けて、中国人民銀行が人民元相場基準値を、どのように設定してくるのか。1週間分の潜在売りエネルギーがたまった株式市場は、どうなるのか。

今晩のイエレン議会証言以上に、予見できない不確定要因が待っている。

なお、今のマネーが安全資産(国債、円、金)に流れる現象は、あくまで、雨宿りだからね。通り雨が過ぎれば、短期投資家のマネーは、次の宿を探す。長期マネーはとどまる。

さて、今日の旨い物写真。

我が家で遂に購入したパン焼き器で、出来立てホヤホヤの全粒粉パン♪

(私はパンには目がないのです。おいしいパンと、プロシュットとパルメジャーノあればOK!って感じ。)

2286a.jpg

昨晩10時の日経プラス10のアタマに出演して、7~8分喋って、私の出番終わり、即、車で帰宅して10時35分。

パン焼き器を10時40分にセットしてあったので、バッチリ!

なお、番組では、マイナス金利や国債マイナス利回りの話を一般向けにやさしく、しかも5分程度でまとめることの難しさを実感。(債券価格が上がると、利回りが下がるというイロハが、どうしても、分かりにくい。そこが分からないと、後の話についてこられない。)

それから、干し柿!

富山産を自慢したら、美濃産の桐箱入りで凄いのが写真で送られてきたよ~。

2286b.jpg

2016年