豊島逸夫の手帖

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ジム・ロジャーズ氏、日本株買いに転換

2016年11月29日


「日本株は買い持ち、円はポジション取らず、金は売らないがヘッジつき。」
これまで7回テレビなどで対談しているジム・ロジャーズ氏が、今週来日を控え、筆者とのやりとりで明らかにした。
気になる価格予測だが、同氏はレンジ予測を「絶対に」やらない。「私は短期予想は苦手。外してばかりいる。いわゆる専門家とやらに聞きたまえ。」と笑いつつ一蹴する。
そこで、「トランプラリーのモメンタムだけで、円が120円、日本株は、あと10%上昇とのシナリオを、どう思うか。」と問うてみた。
答えは「非常にあり得るようだ。」と簡潔な肯定であった。
一時は日本株は売り払ったと明言して憚らなかった。今年の日経の取材に対しても「少なくとも今後1~2年は悲観的に見ており株を買うつもりはない。」と語っていた。筆者と今年6月にNYで対談したときも「日本株は現在保有していない。」と述べていた。(6月13日付け本欄を参照されたい。)
しかし、トランプ勝利で、運用戦略を転換させたのだ。


為替については、6月15日付け本欄のなかで「円は多くの通貨に対して上昇する。」と語っている。結果的にここは外したことになる。それゆえ、現在の円安トレンドにも慎重に距離を置いて見ているのであろう。
ちなみに、この2年ほど推奨してきたロシアへの投資が、トランプ次期大統領の親ロ政策予測により、「非常にうまくいっている。」と満足げに述べていた。ミャンマー市場に最初に注目し、いち早く同国におカネを入れ、その後、ミャンマーブームの様相を呈するや、サッサと投資先をロシアに切り換えていた。2年前に対談したとき初めてロシアへの投資を薦められ、その後、会う度に「次はロシア」と繰り返していた。前回の対談で「ロシアの次は」と聞いたところ「カザフスタン」と答えた。対談の場には、カザフスタン人のアシスタントまで同席していた。
それだけ実績がある同氏ゆえ、トランプ勝利後間もない時点で、日本株を運用先として組み入れたことは注目される。



金については、変わらず。保有している金を売ったこともないし、これから売るつもりもない。ただし、ヘッジはかけている。とのスタンスだ。


さて、今日は、久しぶりに、澤上さんと、「株」ではなく「金」について檀上で対談@横浜。極めて珍しいケース。澤上サン、金を語る(笑)。


その後、椿山荘に廻り、大手証券会社セミナーで講演。
恒例のビッグイベントで、内外から機関投資家のべ数千人規模で集まり、主として主要企業のIRプレゼンテーションを聴講する。ルールは各社ともプレゼンターがCEOに限るので、CEOセミナーという通称になった。私は一般講演の部。


添付のグラフは、イタリアのCDSが、英国EU離脱時並みの180大台を突破。そして、昨日の派手な円高ドル安のグラフ。


2476a.jpg


2476b.gif

昨日から今日のツイート@jefftoshimaは以下の通り。


11/27 20:45


原油暴落の影響まざまざ。アッというまの111円台。見切りドル売り。さすがのジムロジャースも、円相場には手をださず 静観モード。金持ち喧嘩せずφ(..)


11/27 22:59


キューバ国交正常化、白紙も。政治犯釈放、キューバ国民の政治宗教自由が条件。プリーバス、トランプ次期大統領首席補佐官。官房長官談話みたいなもの。まだまだ、一荒れも二荒れもあるね~~~~


11/27 22:59


虚業の世界の投機的売買で、投資の神様的存在の人物でさえ、円には手を出さないという。いっぽう、実業の世界では企業業績が投機マネーの出入りで大きく振れる。これはいかんというので、金融機関の自己勘定売買を制限したドッドフランク金融規正法が出来た。それをトランプは規正緩和する。光と影あり


11/28 12:40


イタリアCDS,ついに英国EU離脱時の180一時突破。EU離脱時に比し、一過性ショックではない。これからが本番だ。


11/28 12:50


フランスのトランプ、反EU政党、ルペン女史 対 フランスのクリントン、体制本流、フィヨン氏。調査期間はフィヨン氏有利というが。。。。トランプ孤立主義の風潮はフランスにも伝染している。


11/28 12:59


原油びっくりぽんシナリオ。イラン嫌いのトランプがイラン核交渉破棄→サウジが対抗して核開発→イスラエルはイラン空爆→原油急騰、 同時に、イラン、ホルムズ海峡封鎖→中東に原油輸入8割依存の日本、エネルギー危機


11/28 13:20


トランプラリーの死角まとめ。1.欧州選挙 2 原油 ロシアとイランの不協調 3 イエレン「高圧経済」2017年利上げ回数増やす 4 インフラ、減税、規正改革、どれも一朝一夕に成らず、マーケットは焦れる 5.ドル高の米国内産業への悪影響

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