豊島逸夫の手帖

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トランプ相場のチャイナリスク

2016年12月12日


「昨日の中台関係に関するトランプ発言について、どう思うか。」
先日、大手証券会社主催のインベストメント・フォーラムに講師として参加したのだが、そこで知り合った外国人投資家からメールが飛び込んだ。日本株のトランプラリーがどこまで続くのか。円安依存構造なのか。などの質問に並び、チャイナリスクは大きな関心事だからだ。
特に、週末の話題は、中台問題について、米国テレビのインタビューでのトランプ発言であった。
まず、台湾総統からの祝賀電話であり、それを拒否するのは「尊敬心に欠けるdisrespectful。」としたうえで、「一つの中国政策」は理解している。しかし、それに縛られるか否かは、条件交渉次第だ。まず、通商面で、我々への扱いは不当だ。通貨切り下げ。そして関税。国境をまたぎ、我々の製品は重く課税されているが、我々は課税していない。そして彼は、南沙の海のど真ん中、巨大な要塞を建てる、北朝鮮の核兵器開発問題についても、中国が果たす役割はあるのに、サポートしてくれない。
やはり、一つの中国one China政策を認めるか否かは、中国次第と明言したわけだ。
これまでツイッターの呟きゆえ、台湾総統との電話会談を「いたずら」として事を荒立てなかった中国だが、ここまで明確に発言されては、それなりの対応を迫られそうだ。

いっぽう、トランプ氏は、中国大使に「習近平氏と長い友人」と中国メディアも認めるアイオワ州知事を起用する方向で、硬軟使い分けの姿勢も見せている。条件交渉次第ゆえ、交渉相手には親中派の代表格を据えるわけだ。
かくして、トランプ氏政策の実相が見えてくるに従い、外国人投資家たちも、どこまで日本株に「コミット」するか。自問自答を重ねている。


そして、ドル・原油・株のトリプル高でドル建て金価格は1150ドル攻防へ。プラチナは900ドル攻防へ。
底値圏。
ドルも株も上昇が過熱気味。原油は非OPEC国、特にロシアを含めて減産合意。もう一つの非OPEC国アメリカが入ってないよ。


週末は、岡山で、毎度和やかな雰囲気の親子セミナー。
鮨屋で瀬戸内の鰆を食べたかったけど、帰国後連日講演でクタクタ。
駅ビルでママカリ、イサキの刺身パックやら、たこねぎ巻き(これいける 笑)を買って、帰京の車内でぱくついた。ビールならぬ無糖カフェラテと(笑)。


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それから、写真は、ロンドンで世界最大のプラチナ鉱山会社訪問。
生産は増えないという話。


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今週号日経ヴェリタス「逸'sOK!」では、「トランプ政権、対中パイプに期待」。中国大使に、「習近平主席の古い友人と」と中国側も認めるアイオワ州知事を抜擢について詳しく。


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ブログをアップ後、さっそく、今日の中国政府系メディアは、「一つの中国政策が交渉に使われることはない。トランプ氏の挑発に対して、中国は米国の敵側に軍事的支援を与えることもありうる。一つの中国政策が廃棄されれば、台湾海峡は真の嵐に見舞われる。平和的併合ではなく軍事的占領が優先するかもしれない。」と社説で非難している。台湾海峡に嵐吹くか。。。

いっぽう、清水寺は今年の漢字に「金」を選出。

2016年