豊島逸夫の手帖

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参院選告示翌日の英国民投票

2016年6月2日

6月22日参議院選挙(参院選)スタートの翌日に英国はEU離脱を問う国民投票を行う。成り行きとはいえ、波乱の予感が頭をよぎる。

仮にEU離脱賛成派勝利ともなれば、ポンド急落、円急騰は不可避だ。103円程度までの円高は想定内といえよう。日本株は急落。

選挙民としても看過できない事態となろう。騒然とした雰囲気のなかで、参院選挙運動が展開されることになる。

アベノミクス失敗論にとっては格好の材料となろうが、安倍首相には、これこそ、消費増税延期理由として強調した「世界経済リスク」の際たる事例ともなり得る。

更に、6月16日にはFOMCの利上げ有無が発表される。現在7月利上げ確率が高まっているだけに、6月利上げが仮に決定されれば、ドル高円安が進行しよう。115円程度も視野に入る。

これはアベノミクスには追い風となり、社会保障財源としての「アベノミクスの果実」も、一定の期待を得られるやもしれぬ。

選挙は短期戦ゆえ、短期の為替動向が強く振れると、思わぬ逆風にも追い風にもなりうるのだ。

そして、ワイルドカードが、トランプ氏とクリントン氏の間で日々激化している論戦。もはや「罵倒」に近い表現が飛び交う。選挙期間中に流れるヘッドラインとしては、かなり刺激的となろう。

トランプ氏が在日米軍の駐留費全額負担を参院選挙運動中、声高に繰り返せば、外交政治と財政支出の両面で選挙の論点となろう。

更に、両氏がドル安政策のボルテージを一段と引き上げれば、これまた円高進行要因となる。

そして、安倍政権選挙勝利を最も警戒する国が中国であろう。改憲論議を視野に、強いけん制発言を繰り出すシナリオは考えられる。

かくして、今回の参院選は、過去に例を見ない、「世界経済リスク」に翻弄される選挙戦となる可能性がある。

いっぽう、欧米市場では、「日本で消費増税延期・参院選」が殆どスル―され材料視されていない。こちらから反応チェックを入れて、初めて気づくというケースが多かった。米大統領選、英国国民投票、IS激戦などの報道に埋もれている。

日本国債格下げ、日本国債売りによる金利上昇の「ジャパン・リスク」もさほど強く意識されていない。やはり債券市場の景色が日銀の国債購入・マイナス金利容認により激変しているからだ。市場最前線では、日本国債を買い、日銀に売る「ジャパン・トレード」のほうへ専ら注目が集まる。格付け会社の視点では、消費増税先送り=財政規律懸念=国債格下げという公式的思考だけではなく、足元のデフレ逆戻りリスクに関してはプラス評価との見解も考慮されている。

日本の選挙は世界経済リスクに影響されるが、世界経済の中での日本の影響力低下という厳しい現実も顕在化している。

昨日夕方6時からの安倍首相演説・記者会見を見たけど、これまでの「増税再延期なし断言」を覆すために、「新しい判断」という表現を連発。これ、今年の流行語候補だね(笑)。

「金は上がるとお約束しておりましたが、新しいリスクに鑑み、新しい判断として、上がる時期を2年半後に延期と致します。変心とのご批判は真摯に受け止めます。」とかね。冗談だよ。冗談w 

そして、「消費増税延期を考える会」を緊急開催。

二人の経済キャスターと激論!激食!

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場所は、安倍首相と麻生副総理が2時間にわたり会談した官邸近くのホテル内。2時間食べ放題というコース。まっさきに、分厚いフカヒレ煮込み。これだけで元をとった感じだけど、結局18品を平らげて、3人ともお腹が膨れて苦しくなった(笑)。 おそるべし、人間の食欲~~当分ABC(Anything But Chinese)。。。。

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2016年