豊島逸夫の手帖

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ソロス氏、英EU離脱後、米国株と金鉱株は「売り」

2016年8月17日

SEC(米国証券取引委員会)に登録しているファンドは四半期ごとの主要保有銘柄の情報開示を期末から45日以内に義務付けられている。その報告様式名を取って、業界では「13F」と呼ばれる。ヘッジファンドの株式保有状況を確認できる情報ゆえ、市場の注目度も高い。

8月15日には、その4~6月期末分が出揃った。

今回目を引いたのはソロス・ファンド・マネジメント。

SP500株式ETFのプット・オプションの持ち高をほぼ倍増させた。この場合のプットは、株を売る権利ゆえ、米株の先安を見込む資産運用と解釈される。

公表されたプット・オプションの保有量は、時系列でみると、増加傾向にある。

2015年10~12月期末  1,004,000株

2016年1~3月期末    2,098,300株

2016年4~6月期末    4,004,000株

高値を更新する米国株に対して、徐々に警戒感を強めていることが明白だ。

更に、ソロス氏は、大量に購入して話題となった金鉱株も、ほぼ売り払った。世界最大の金鉱山会社バリックの保有状況は以下の通りである。

2015年10~12月期末   0株

2016年1~3月期末     19,419,309株

2016年4~6月期末      1,071,074株

ここでも、金価格上昇過程には首尾よく乗ったが、早くも利益確定と思われる売却に転じたことが明白だ。

一般的に金はリスクオフで買われるので、株に対して弱気ならば、保有量を減らすことはないはずだ。しかし、金鉱株は金投資というより株投資に近いので、金価格より遥かにボラティリティーが高い。せっかく金価格が上がっても、経営手腕が悪く、余計なビジネスに手を出して損失を計上することもある。ゆえに、リスク資産と見做されるのだ。

いっぽうで、コアの金ポートフォリオである金ETFは、240,000株保有している。

なお、今回公表された保有状況は、6月30日時点の数字だ。英EU離脱後の不透明感が続くことを予測して、さすがの「投資の神様」もリスク回避の姿勢を強めているようである。

それから、円相場は、99円台に突入した後、NY市場に入ったら、NY連銀ダドリー総裁が「9月の利上げあるかも。」と発言したことで、またぞろ100円台を回復した。要人発言に一喜一憂だが、円相場100.30で「円安」とされるようになっちゃった。

当面のポイントは28日の毎年恒例ジャクソンホール中央銀行会議におけるイエレン講演だね。昨年は、同氏が欠席しただけに、今年は敢えて出席することで何か意図があるのか。興味津々。

さて、今日は、最近の失敗談。

もともと、私は、どこでも直ぐに深く寝られるタイプの人間なのだけど、最近、立て続けに、寝過ごして、目的地の駅で降りそこねることがあった。特にここのところ、時間が不規則なせいで、寸暇を惜しんで細切れ睡眠が続いている。朝2時間、昼1時間、夜の早い時間に2時間で、計5時間睡眠だからね。殆どNY時間の生活。

そこで、地下鉄で2~3駅寝過ごすのは日常茶飯事。

静岡で講演したときは、静岡で5分停車の「ひかり」グリーン席だったので、車掌さんが気が付いて「もしもし、お客さん、静岡ですよ!」と揺り起こしてくれた(笑)。 東京から随行員が普通車に乗っていて、静岡駅の改札で、なかなか現れない私にやきもきしていたみたい。もし、車掌さんが気が付かなかったら、名古屋まで行ってしまって、講演開始に間に合わなかったね(汗)。 というわけで、私の講演の主催者側の皆さん、ご用心~~~。

2016年