2016年10月7日
今回の原油急騰は、OPEC減産合意が主因だ。
ゆえに、OPEC内に亀裂が生じれば、原油価格が50ドル台を維持することは、即、不可能となる。
市場では懐疑的見方が根強い。OPECを主導するサウジアラビア(サウジ)の本気度が疑われている。
サウジ側の指揮をとるのは、ムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子だ。現サルマン国王の三男で、原油に限らず、国防(特にイエメンとの戦い)に関しても、重大な権力を持つ。間違いなく、サウジの最重要人物だ。
この副皇太子は、4月に、ロシアとOPECとの生産協議を途中で止めたという「前科」がある。ゆえに、今回、サウジがマーケットシェア維持を優先して、原油低価格を容認するとの表向きの「戦略大転換」を額面通りには受け止められない。
とにかくサウジは原油価格下落で、国民へのばら撒きの財源と、戦費捻出に窮している。国民は、国家からの気前の良い補助政策に慣れきってしまっているので、ばら撒きを減らせば、国民の不満がテロ養成を誘発しかねない。
やはり、低価格競争でも、マーケットシェア維持をそう簡単には撤廃できない事情もあるのだ。
その副皇太子が、原油市場で、最大のライバルと見做すのは、米国なのか、イランなのか、ロシアなのか。
筆者の見方だが、やはりイランなのではあるまいか。
宗教的対立の解消が最も難しい。
サウジは、既に、イランを意識してアジア・欧州向けに値下げ。やはりマーケットシェアへのこだわりが透ける。
イランも、制裁前の水準まで生産量を回復することを、依然目指している。
そして、ロシアの出方も重要だ。ロシアとOPECは来週イスタンブールで会合を持つ予定と報じられている。
原油生産者が減産の方向で足並みを揃えることは、総論合意出来ても、各論になると、必ず利害の衝突が生じる。仮に、合意されても、それを監視して持続させることも困難だ。
投機主導の原油急騰ゆえ、40ドル前後までの下落は避けられまい。
いっぽう、同じコモディティーの金は、通貨の側面で、利上げの為に売られ、1250ドル台。
利上げで金が下がるのは想定内だが、タイミングが、未だ利上げ確定しているわけでもないのに、フライング気味と感じる。
これから12月のFOMCまで、毎日、利上げだから金は売りだと言い続けるのか。予定より早く起きた現象は、予定より早く終わろう。
円相場は利上げを重視して104円をつけているが、利上げならドル高、トランプ氏ならドル安。この綱引き状態が続きそう。
そして、今夜はいよいよ雇用統計。悪ければ、利上げ観測後退して、100円近くまで戻る可能性。果たしてどうでるか。
今日の旨い物写真は、噴火湾ホタテのエスプレッソ仕立て。
ワタリガニまるごと使ったソースであえたパスタ。
鯛の赤ワインソース。
どれも、鮮度の高い素材、熱の入れ方が秀逸でした♪