豊島逸夫の手帖

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FOMC中、アップルショックに揺れる市場

2016年4月27日

米国経済、そしてドル・円の先行きを占うビッグイベントのFOMC。その初日のNY株式市場引け後に、アップルが市場予測を大幅に下回る1~3月期決算を発表。時間外で同社株は105ドル台から96ドル近傍まで約8%も急落している。時価総額60兆円を超す企業ゆえ、5兆円前後が消えたことになる。

13年ぶりの減収、初のiPhone年間販売減もショッキングだが、問題は、イノベーション面で持続を期待できる結果を出せていないことだ。iPhone7が発売されるが、そもそも製品ライフサイクルの成熟期に入っている。ハードウェア主体の「オールド・エコノミー型企業」とのイメージを払しょくできない。アップルほどの成功企業になると、投資家の期待度も高く、失望感も出やすい。二大会連続で金メダルをとったオリンピック選手が三大会連続出場時に味わう「失敗はできない」というプレッシャーに似た環境に置かれている。

とはいえ、アップル株をグロース株ではなくバリュー株と割り切れば、長期保有の視点で期待できる材料はある。
アップル・ペイ(決済機能)、アップル・カー(電気自動車)、アップル・ミュージック(音楽配信サービス)などがその例だろう。事実、ソフト・サービス面では売上を伸ばしている。
これらが、創業者スティーブ・ジョブズ氏の「企業的遺産」への依存から脱却が期待されるティム・クック現CEOの打ち出した新路線である。


しかし、長期投資家の期待度は高いが、短期投資家を「買い」に動かすほどの迫力には、いまいち欠ける。そこでしばしば引き合いに出されるのが、ウォークマンという大ヒット商品からの脱却に苦戦したソニーの例だ。
更に、中国の同業ライバルたちは、「アップル・カーはアップルの自動車産業参入とはやされるが、自分たちの発想は、車サイズのネット機材・機能集合体だ。」などと語る。

そもそも、アップルほどの巨大企業が、iPhoneと、その中国への販売依存度が高過ぎることが懸念材料としてつきまとう。
中国の次はインド市場との期待もあるが、インドの国民所得水準では如何に低価格帯iPhoneといえど、まだまだぜいたく品だ。
いずれにせよ、新興国経済不安の影響を受けやすい。
巨額の内部留保を買収などの前向き活用に使い切れていないとの批判も絶えない。
総じて、アップルの全盛期は過ぎたか、との印象を市場に与えている面は否めない。
戦艦大和級ともなると、かじ取り変更も容易ではない。

おりしも、FOMC初日に発表されたアップル決算。
ドル高の収益への悪影響も指摘される。
超巨大国家の金融かじ取り役イエレン氏率いるFRBも、ゼロ金利からの金融正常化という未知の海域をさ迷っている。
米国を代表する企業アップルの苦戦は、金利との戦いに揺れるFOMCのイメージと重なり、ミクロ・マクロ米国経済の実態を映す。


ところで、最近、仕事用のネット機材が相次いでダウン。急遽新規購入した新機材も大外れ。どうやら、スクリーニング機能を強くしすぎて、メール送受信が出来たり出来なかったり、安定せず。参ったよ。ネットへの依存度が高いゆえ、困った問題だ。
本来の仕事より、補修関連に時間をとられる日々。。。

2016年