豊島逸夫の手帖

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米利上げに試練、新年ブラックマンデー

2016年1月5日

未熟な中国人個人投資家が、「サーキット・ブレーカー」なる耳慣れない用語に動揺したことから、2016新年ブラックマンデーが始まった。突然、取引が中断され、売買出来なくなる。売りの逃げ道を塞がれたかのような恐怖心が「劇場のシンドローム」現象を誘発したのだ。満員の劇場で観客が一斉に狭い非常口に殺到するイメージである。冷静に考えれば、中国PMI悪化は今に始まったことではない。中国経済減速など、中国人個人投資家たちが最も強く体感しているところだ。

それでも、相場は恐怖心で動く。いったん動いた相場は、それが既成事実となり、新たなレンジが形成されてしまうところが、まさに怖いところだ。

特に、今の市場では、アルゴリズム高速取引が、「上海株サーキットブレーカー発動」という見出しに反応して、機械的に大量の売り注文を発動する。国境を超えたネットの世界ゆえ、アジア、欧州、米国各市場へ瞬時に拡散してゆく。

マクロ経済の視点では、昨年8月の上海株急落時と比し、最大の違いは、米利上げ直後というタイミングだ。

前回は、利上げ前の過剰流動性相場がもたらしたバブル的急騰後に不可避の急落だった。今回は、利上げ後、流動性が中国・新興国から流出しつつある段階での急落だ。

おそらく、イエレンFRB議長も、内心、ヒヤリとしたのではあるまいか。昨晩、NYのヘッジファンドたちと話したときも、利上げ回数どころか、利下げサプライズシナリオが議論の中心になった。本欄では、12月利上げは、あくまで見切り発車の「経過観察扱い」ゆえ、3月に要再検査と書いてきた。その再検査を待たずして、病状再発の兆しが見え始めている。米ISM製造業景況感指数悪化の

衝撃が2か月続いた。11月同指数が、好不況の境とされる50を割り込み、4日発表の12月分も、前月の48.6を下回る48.2を記録した。1931年から始まった歴史ある経済統計だが、過去に50割れで利上げした例は極めて稀である。

もうひとつの下げ要因であるサウジ・イラン断交は、中東戦争に発展するリスクをはらむ。ただし、この戦いの武器は、原油である。サウジは、減産せず原油価格下落を放置することで、原油市場に復帰するイランに先制攻撃をかける。イランは、原油生産再開で一歩も引かない構えだ。どちらも減産すれば、敵に塩を与える結果になりかねない。両すくみ状態だ。

このままでは、共倒れのリスクさえ絵空事とはいえない。

俯瞰すれば、この二大中東大国対立は引くに引けず、バーレーンやUAE、そして米露も巻き込み、中東情勢の景色を大きく変える可能性をひめる。現段階では、問題が大きすぎて、ただちに、先を見通すことはできない。ただ、原油市場は、ホルムズ海峡が封鎖されても、米国クッシング始め膨張する世界的原油在庫で供給は賄えると読んでいるかのようだ。新たな地政学的リスクに、一時は38ドル台まで急騰したが、結局、前日比と変わらない水準で引けた。

中国株急落も、テヘランのサウジアラビア大使館襲撃も、一般市民が引き起こした。終息できるか否かも、個人の動きにかかっている。プロの視点では、ランダム(無作為)に動き、予見しにくいのが個人でもある。海千山千のヘッジファンドも、個人の一揆には近寄らないものだ。コンピューター・プログラムもランダムな動きはもてあます。

壮大な実験といわれる非伝統的金融政策は、市場にも壮大な実験を課している。

金価格は、ドル建てで一時は20ドル近く上がったが、あとが続かず。逆に円高急進行で、円建てでは安くなった。ただ、マクロ的に見ると、米国株がかなり怪しくなり、中国株はヤバいので、売られ過ぎの金に注目する投資家が増えてきていることも事実。サウジ・イラン断交も、今後、ジワリ金市場には効いてくる材料だ。

さて、今日の写真は、私の隠し子w

昨日は、しばらく遊んでもらいました~。

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愛猫がやきもち焼いて、ふてて、頭だけ寝所に突っ込んで寝てました。

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2016年