豊島逸夫の手帖

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WBSで金コメント

2016年11月17日

先週はまさにトランプ氏の勝利演説をテレビ東京の部屋でスタッフと見て、いきなり大江キャスターとインタビューでした。そして、同じ部屋で昨日は金についてインタビュー。添付写真のようにコメントしました。

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金が下がったのは、これから良くなるという期待感で株・ドルが買われたから、などなど。テレビ東京の新社屋は地下鉄南北線直通で入れるので、私の行動範囲内になり、気楽にちょっと寄って収録できるようになりました。報道関係はいつなんどき、大きなイベントが起こるか分からないからね。それから、円建て金価格は円安のスピードが速く、早くも大統領選前の水準を回復。ドル建ては、はるかに下の水準に留まる。三菱マテリアルのホームページ「ゴールドパーク」のグラフを添付。分かりやすい。

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そして、今日の原稿

市場も注視、トランプ流、人事「粛清」

市場参加者の多くは、想定外の展開ゆえ、現在の株価上昇に乗れていないので、焦りが感じられる。最も知りたいことは、今の相場の持続性だ。ハネムーン・ラリーとの前提に立てば、早晩、高揚感は剥落する。

そこで、市場は、なにか手掛かりを模索している。これまでの金融政策主導相場では、中銀幹部発言にヒントを求めた。

しかし、トランプ主導相場では、政治経験のない大統領を補佐するチームの言動が、マーケットを動かす要因となる。

そこで、市場の視線を浴びているのが、トランプ氏のお気に入り、義理の息子クシュナー氏だ。

大統領の家族は義理関係も含め、ホワイトハウス内で職に就くことは禁じられているので、表舞台には出られない。しかし、実質的には政権移行チームの中心的存在である。影のアドバイザーとしてトランプ政権に影響を与えることになりそうだ。

クリスティー氏の「粛清」も、彼の判断に基づく決定とされる。クリスティー氏がクシュナー氏の父を起訴したという過去が影を落としている。

35歳。背が高いイケメン。ハーバード卒。若くして、不動産業や新聞社買収を手掛けてきた。いかにも、トランプ氏好みの履歴だ。

彼に関しては、重要会合に異例の出席を許されたとの目撃情報など様々な現地報道が流れ、市場もチェックを怠らない。

次期政権チームが、副大統領ペンス氏主導のもと、徐々にトランプ色に染まりつつ形成されている。

市場の着眼点は、誰が市場フレンドリー(協力的)か、ということ。現在のメインテーマ、インフラ投資といっても、プロジェクトを立ち上げるには時間がかかる。マーケットは焦れ、先取りで動く。その際、トランプ政策の本気度を計るために、担当人事、関連発言は有力な情報なのだ。

いっぽう、なにかと政治の世界に家族を巻き込むトランプ流の政治手法は、スキャンダルというテールリスクを常に孕む。

既に、大統領の娘が、宝飾品ビジネスに、トランプの家族であることを利用したのではないか、などの疑惑が一部では指摘されている。しかし、市場が懸念するのは、万が一の、大規模で真実性のある疑惑情報暴露などだ。

まさかの政権誕生には、抜擢人事が常で、無名時代の言動リスクがつきまとう。

トランプ相場も、初期のユーフォリア(高揚感)から徐々に覚醒して、具体的政策点検・精査の段階に移行しつつある。

明日金曜日午後5時からテレビ東京の「ゆうがたサテライト」(ゆうさて)という新番組に出ます。お題は、安倍首相トランプ会談について。


2016年