豊島逸夫の手帖

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ビットコイン、ハッキング事件

2016年8月4日


香港を拠点とする仮想通貨取引所、ビットフィネックスは、顧客口座がハッキングされ約65億円相当が盗まれたと発表した。このニュースでビットコインの対ドル相場は2割以上急落したという。
ビットコイン市場は、中国人が投資家数の4割、売買の8割を占めるといわれる。投機目的に加え、規制が厳しくなっている海外送金の手段としても中国人にとっては好都合なのだろう。ビットコインの人民元建て価格は、今年に入り5割近く値上がりしていた。


中国人マネーは、不動産、理財商品、株式、商品先物、ネット金融と、目先旨みのありそうな投資媒体を回遊している。ビットコインは、その最新の資金の受け皿なのだ。
とはいえ、今回のような不祥事が起こると、ビットコインからも一斉に手を引く可能性もある。
しかし、次の投資媒体は何になるのやら。


金は、中国の文化に根差しているので、一過性ではなく買われている。勿論、投機的売買も多い。しかし、歴史的に金選好度が高いので、中国人が金を嫌うようになることは、まず考えられない。


なお、昨日は、米国で「債券王」といわれるカリスマ・債券ファンドマネージャーのビル・グロス氏が、「株や債券から金にシフトせよ。」と米国CNBCインタビューで語り、ウォール街の話題になった。「日本、中国、そして米国大統領選後の財政出動を考えると、金融商品から実物商品に運用先を移すべき。」と語る。「安倍政権の新たな財政政策は、ヘリコプターマネーの始まりで、他国にも飛び火するだろう。」とも述べている。

2016年