豊島逸夫の手帖

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トランプ氏逆転あるのか、当惑する市場

2016年11月1日


新Eメール発覚後の支持率調査が相次いで発表され、市場の不安感を醸成している。
マーケットは、トランプ・リスクの再吟味を始めた。
最新のABC調査では、クリントン氏46%、トランプ氏45%と拮抗してきた。
注目すべきは、先週を通じて、支持率の差が縮小傾向を辿ったことだ。
10月22日から28日までのクリントン氏支持率が、50%、49%、48%、48%、47%そして46%と、ほぼ一貫して下げ続けている。一方、トランプ氏は38%、38%、40%、42%、44%、45%、そして45%と上げ続けた。
新Eメール発覚により、投票者の1/3ほどが、クリントン氏を支持しないかもしれない、と答えたが、63%は、Eメール問題だけではないので、関係なしとしている。今後の注目点として、本件が、どの程度、トランプ氏支持者を実際に投票行動に掻き立てるのか。そして、一部のクリントン氏支持者が萎えて無投票を選択する可能性が指摘される。特に浮動票への影響は避けられまい。
既に期日前投票を済ませた多くの人たちからは、「今更そういわれても。」「それを知っていれば。」など、たらればの声が聞こえてくる。
FBIがなぜこの時期に発表したかについても、非難があがる。FBI長官としては、今年7月に議会に「一件落着」と報告したてまえ、再捜査を開始するからには、その旨発表する義務があるとの判断のようだ。それにしても、本選直前ともいえるタイミングでの爆弾発表は、様々な憶測を呼ぶ。


とはいえ、基本的にクリントン氏リードは変わらない。しかし、トランプ氏当選も、単に「テールリスク」として割り切ることが出来ない。クリントン氏勝利シナリオをベースに運用計画を構築し始めたところが、その前提が大きく揺らぎ始めたことは間違いない。いったん、織り込みが進んだだけに、サプライズ性が高いのだ。いったん作成したアナリスト・レポートの書き変えを迫られたと嘆くアナリストも少なくない。


日銀金融政策決定会合とFOMCは、おおよその察しがつくが、突発的に浮上した新Eメール問題は、今週、新たに様々な情報が流され、市場もそのたびに振られることになりそうだ。
特に外為市場では、105円台に到達したところで、新たな円高要因に見舞われ、ドル高の流れに乗った投機筋の利益確定ドル売りが出やすい地合いになった。金は堅調維持。


支持率拮抗のグラフ(ワシントンポスト・ABCテレビ調査)


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2016年