豊島逸夫の手帖

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世界で最も危ない銀行は?IMF実名公表の衝撃

2016年7月5日


IMFが発表した「金融システム安定性評価」レポートが波紋を広げている。
特に市場の関心を惹いたのは、「世界的システミックリスク」と題するグラフ。そこには、世界的システミックリスクを抱える28の銀行の危険度ランキングが実名入りで示されたのだ。
際立つのは、トップ3のドイツ銀行、HSBC、クレディスイスという欧州の銀行群。更に、ドイツ銀行に関しては、リスクが世界主要28行に伝染する具体的可能性を示すために、その影響度を線の太さで示している。
本文では、ドイツ銀行に関して、「リスク管理、当局の監督、国境をまたぐ取引の緊密なモニタリング、破たん処理能力が重要。」とコメントしている。


タイミングも悪かった。
ほぼ同時に、FRBが、銀行の健全性を評価するストレステストの結果を発表。検査対象となった33行中、ドイツ銀行の米国部門とスペインの大手銀行サンタンデールが「不合格」とされたのだ。
しかも、その直前に、著名投資家ソロス氏が、英EU離脱で売ったのは、ポンドではなく、ドイツ銀行株と公表したばかりであった。
(この詳細は、本欄6月29日付け「ソロス氏が売ったのはドイツ銀株」を参照されたい。)
おりから、市場では、英EU離脱がリーマンショック級か、との議論に沸いていた。それゆえ、ドイツ発の金融システミックリスクが、リーマン級再発を連想させたのだ。


そして、今週に入り、かねてから懸念されていたイタリア民間銀行の不良債権問題に火がついた。
中世からの歴史を持つ老舗大手銀行モンテ・デイ・パッシが7月4日付けのプレスリリースで、「ECBから3年計画の不良債権削減計画案」を提示されたことを公表したからだ。2018年までに不良債権比率を20%に半減させるための計画を求められている。
ECBの銀行ストレステスト結果も近々発表の予定だが、同行不合格が危ぶまれている。
その他のイタリアの民間銀行も、資本金不足の事例が目立つ。


問題は、レンチ伊首相が、公的資金による救済を考慮していること。ところが、EUは、銀行の公的救済を禁止している。納税者負担ではなく、債権者負担にせよ、とのルールである。その背後には、結局、ツケを払うことになるドイツの強い抵抗がある。イタリア銀行問題に関しても、メルケル首相は、一切妥協の余地なしとの態度を貫いている。
この欧州銀行経営不安リスクは、英EU離脱という波乱要因により、更なる悪化が見込まれる。
基本的に、英EU離脱はリーマンショックとは異なるのだが、万が一、このセクターから世界的システミックリスクが顕在化すれば、基本的前提条件が覆ることにもなりかねない。
リスクシナリオとして留意すべきであろう。


そして、金は、英EU離脱後の長期経済停滞傾向のなかで、新規参入の投資家が増えている。裾野が広がり、パイが大きくなっている。だから、NYMEXに史上最高水準の先物買い残高が積み上がっても、新雪ドカ雪の売り戻し表層雪崩が起きない。とはいえ、1350ドル超えたところは、いつ、売りが入ってもおかしくはない。買われ売られのサイクルを繰り返して、徐々に相場水準が切り上がってゆく。肝は中国の現物実需。それも偽装輸入まがいの仮需ではなく、実需。これが、本格的に出てくれば、腰の据わった相場になる。


そして、昨日は、為替専門家、尾河眞樹がソニーフィナンシャルに円満転職ということで、自宅に招き激励会。皆に祝福され果報者だよ。長年、家族ぐるみの付き合いなのでリラックス。ペットの話から為替激論まで(笑)。 共通の友人、分林里佳経済キャスター(育休中)と凛ちゃんも参加。結局、主人公は凛ちゃんだったかな~~(笑)。


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手作りの御馳走が二番目の主人公みたいな。全部自家製。特に、しゅうまいが好評。


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御馳走といえば、京都祇園「らく山」の続き。
鱧が4種類でて、そのなかの、ハモ鮨。いい塩梅だね。


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そして、賀茂ナス。


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これを食べると、東京で賀茂ナスを食べられない。東京で供される品は、ままごとみたいに感じる。鱧も然り。ホンモノの味を知ってしまうと、東京で鱧は食べる気がしない。困ったもんだ。。。

2016年