豊島逸夫の手帖

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世界株安連鎖断ち切る特効薬とは?

2016年1月18日


中国人民元安と米国経済のほころびが共振。世界株安連鎖に歯止めがかからない。
この負の連鎖を断ち切る切り札を、イエレン氏は持っている。
講演・記者会見・声明文などで、追加利上げについて「慎重に緩やかに」という表現に「極めて」という強い副詞を加えること。決め手は「利下げ」の可能性も排除せずとの言い回しを挿入することだ。
本欄でも12月にヘッジファンドの間でささやかれる「利下げ」シナリオを紹介した。今や、米国人投資家の間でも、そのくらいのサプライズなしでは、今のリスクオフの流れは止められないとの観測がジワリ台頭しつつある。


イエレン氏は、常に「最終的にマクロ経済データ次第で、利上げ実施、利上げ見送りを決める。」と語ってきたが、利上げ開始後は、そこに「利下げ」という第三の選択肢も加わる。
とはいえ、利上げして、すぐに利下げでは、FRB金融政策へ信頼が損なわれるは必定。有事対応の非伝統的金融政策を解除して、金融正常化をうたった直後に、再び有事対応で逆戻りでは、後手後手の印象はぬぐえまい。
そこで最も現実的な対応は、講演や記者会見で、「データ次第で、利上げの可能性も排除せず。」とにおわせることになる。「金融正常化により、中央銀行は、金融政策の余地が広がった。」という文言でもいい。ゼロ金利時代に比し「伝統的金融政策を取り戻した。」という程度の談話でも、マーケットは敏感に反応するだろう。


更に、金利決定要因のなかに、「国際要因」として具体的に「中国」を再び加えること。
明日には中国重要経済指標が相次いで発表されるが、中国経済減速は複雑な構造的問題に根差すので、月次・四半期の統計が仮に好転しても、不安感払しょくには至るまい。この要因を、率直に認めないほうが、かえって、FOMCの信頼感を損ねるのではないか。


原油価格下落が「一時的」という表現を外すことも考えられよう。原油安も、需給のパラダイムシフトという構造的問題である。30ドルから20ドルへの下落は投機筋の仕掛けとしても、100ドル台が1/3に下がる状態が、ここまで持続すると、「一時的」とはいいかねる。

既に、一部の有力地区連銀総裁の発言でも、「年4回の利上げがコンセンサス」については、抵抗感が滲み始めた。
イエレン氏も、元来「ハト派」ゆえ、利上げ回数を「a few」とか「a couple of」と表現するだけでもインパクトはある。
「足元のマーケット乱高下をいちいち考慮することはない。」というタカ派の意見も、ボラティリティーがここまで高まると、説得力に欠ける。
ダウ平均に連れ日経平均が16000円、マネー逃避の結果として円高が115円、原油が25ドルというような事態になれば、政策対応がいやでも必要になろう。
国債金利が0.1%まで下がるほど、債券市場の需給はひっ迫しており、日銀追加緩和が仮に発表されても、切り札が限定される印象を強める結果にもなりかねない。


中国は、度重なる利下げ・銀行預金準備率引き下げにも関わらず、PMIが悪化しており、金融政策の限界が露わになっている。
欧州中央銀行は、追加緩和に対する独連銀のこだわりを無視できない。
やはり、国際基軸通貨発行元のFRBが、「世界の中央銀行」として動くことが期待されることになりそうだ。

金は買われたが、1090ドル台止まり。金もリスク資産ゆえ、リスクオフで短期的に売られる面と、安全資産として長期的に買われる面が交錯している。


今日の写真は、ハンターの友人が富山でとってきた鴨。


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鍋にして、串焼きにして、絶品!


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1月の鴨は若い。2月の鴨は脂がのってくる。
どっちも、ぞれぞれ旨さがあるね~
毎年恒例の北近江、長浜の鴨鍋には未だ行ってないな。。。


そして、今朝の雪の庭。週末はガーラで弾けてきたけど、東京の雪は水分タップリで重い。ガーラの気温よりは高いはずなのに、ガーラより寒い!スキーウエア着てないからね。。。


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2016年